終わらない、という終わり方

2021年6月19日土曜日

よしなしごと

長い長い長い漫画読み歴を過ごしていれば、
数多く、大長編漫画の最終回を見届けることになります。

最近でいえば「進撃の巨人」の最終巻が出ましたね。
でも、わたしは、途中で何回か脱落しちゃってるため、見届けた感は少ないのです…
(リヴァイ兵長が生き残って驚き)

「鬼滅の刃」は、たまたま読んで好きになって、ゆっくり単行本で追いかけていましたが、
終盤は、続きが気になりすぎて、単行本の発売なんてとても待てなくなり、掲載誌の少年ジャンプを買っていました…
(さすがに立ち読みは、はばかられる齢)

でも、連載誌で「続きはどうなるの!!?」て待ち遠しくて仕方ない、ていう経験、
どのくらいぶりだろうか、と思いましたね。

最初に読んだ時、
「わーおもしろい。
でも最近のひとにしては絵が粗い」
という印象をもちました。
ところが、単行本の巻が進むにつれ、というか1巻ごとに、ものすごい勢いで絵も構図も飛躍的にうまくなっていることに驚きました。
元々才能溢れるひとが、人気と勢いを起爆剤にして、誌面狭しと大暴れしている。ますます目が離せなくなりました。
社会現象になるまでの人気を博す中、
物語はいよいよ最終盤へ。

いや…本当に最終盤、なのか…?
少年ジャンプにおける都市伝説、
「人気連載は終わらせてもらえない」。
…大丈夫、なのか…?

汚い大人の邪推は外れて、物語は幕を閉じました。多分、単行本の巻数の関係上かな、
ちょーっと伏線の回収残しがあるかな?
と思いましたけど、それでも、楽しみに読んでいた作品の最終回にリアルタイムで立ち会えたことは幸せなことでした。

(いちばん好きなのは、遊郭編です)
(推しは、音柱です)

作家さんが筆を折らなければ、
積み残していた諸々を外伝で書いてもらえる日が来るかもしれない。
すぐには無理でも、そんな日が来ないとも限らない。
作家さんが生きてさえいれば。

「ベルセルク」の作者・三浦建太郎さんの急逝。ショックを受けられた方も多いと思います。わたしもです。

怨恨・殺戮の繰り返しの復讐譚。
とてつもなく卑劣で、けれど健気さ美しさも併せ持つ人間の深遠さ。
「生と死」がドロドロと色濃く渦巻く
ダークファンタジーの壮大な世界。
なんじゃこりゃ!な緻密さの銅版画を思わせる絵。




30年以上、何回もの休載期間はあるにせよ、綴られてきた物語。ウラケン先生自身が、
「死ぬまでに頭の中を全て出せるのか」
と言われていた物語は、書き手の急逝というあまりにも悲しい幕切れで、着地点を見ることは永久に叶わなくなくなってしまいました。

「そろそろ閉じていく」
「ハッピーエンドにするよ」
と言っていたのに。
ヒドいよ、ウラケン先生。

生まれた瞬間から苦痛と苦難に満ちた人生を生きている主人公(ガッツ)。
そのハッピーエンドとは…?
物語は、ガッツの愛する人キャスカの復活という希望の光が見えたところで、終わってしまいました。
これまでの展開から、今後、熾烈な闘いが繰り広げられるだろうことは想像にかたくないのですが、もう続きを読むことはできなくなった今となっては、もうムリからでもいいので、
ガッツとキャスカと仲間たちが、穏やかに暮らしている未来を願いたいと思っています。


年齢を重ねても、「楽になる」とか「自由になる」とか、聞いてたようなことは何ひとつなくて、成長も成熟もできなくて、
「思ってたのと違う…」だらけな有様ですが、
それでも、どうにかできるように(実感できるように)なってきたことがあって。

・いったん棚に上げること
・ものごとも人も多面体であり、
 見える面だけが全てではないし、
 見えている面にも濃淡がある。
そして、
・多面体の全てを見る必要はない
・曖昧なまま残しておくからこそ、
 美しい(楽しい)(好ましい)ことが
 たくさんある

ということ。
恥ずかしながら、この齢までかかってしまいました…
(できる人は子供の頃からできるよね)

漫画の結末と結びつけるのも、突飛に見えるかもしれませんが、
結末を見られなかったことで、どんなよくできた着地点より、印象に残る最終回になったのかな、という考えができている、これは自分比では「オトナになった」案件なのです…

でも、ウラケン先生、もっともっと、読みたかったです!!!




どんなに納得のいかない最終回でも、それを見届けることができるのは幸せ。
あらためてそう思いました。

だから。

「最終回の最後のシーンまで決まっている」
とおっしゃってた、
某大河大長編演劇漫画の作者さま。
どうか健康で長生きなさって、その最終回を見せて下さいね!
わたしも長生きしなくちゃだ。



彼岸にありしかっこいいひと、に捧げたかったけれど。
残念、全く咲いてなかったわ。

6/13 ぬかた園地


でも、わたし、走ってるよ。
前とは違うカタチかもだけど、走ってるから。



またね。



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