愛せる服

2021年1月23日土曜日

ころももの よしなしごと

 
こどもの頃から、本と服が好きです。
もしあと何回か人間で人生をやれるなら、
古本屋と古着屋をやる人生を
1回ずつ下さい、と思うくらいには
好きです。

コロナ禍になる前は、
服については、
個人が営まれてるセレクトショップで
買い物をすることが多かった。

コロナ禍(+メンタル不調)で、
店舗に伺えず、ネット経由でしか買い物できなくて残念です…

楽しくお店で買い物できなくなっても、ネットで必要なものは買えます。

若い頃から、服道楽してきました。
「いい物だから」
「長く着られるから」
で、分不相応な値段の服を買ったことも
多々あります。
でも、そのうち今手元に残っているものは
殆どありません。

一生ものの服なんて、あり得ない。

スポーツ用、作業用、セレモニー用
などの用途が限定される服を除く、
日常身につける服は、
量販店で無難に安価に購入して
適当な期間で着捨てて、循環させる。
そう考えるときも、あります。
そもそも在宅勤務の割合が多くなり、
気楽に外出できなくなって、
服の枚数なんて要らないし。

でも、イヤだ、と思うのです。

そういう服も、もちろん便利に使っていけばいいと思いますし、
そうするとも思いますが
でも、全部はイヤだ。

世の中が、こうなってから
「愛せる服」を所有したい、という
気持ちが強くなったのは、なんでだろう。
「愛する」が大げさなら、
「愛着がある」、でもいい。

定期的にクローゼット整理をして
かなり大胆に処分する方ですが、
ここしばらく、処分対象が、激減しました。

今着ないものは捨てる方針でしたが、
「着ないけどニヤニヤ眺める服」が
あっても、いいと考えるようになりました。
(あまりたくさんあっても困りますが)

値段の多寡は関係ない。
後ろに、ストーリーとか、作ったひとの心意気が見える服は、手元に残したい。

先日も
クローゼット整理をしながら、
手持ちの服を眺めていたら、
びっくりするような仕事をしていることに気づいて、嬉しくなりました。

ジャケット



母のお下がりで50年前の服。
 今はなき、芦田淳クチュールです。
 50年経ってもビクともしないウール。
 (その代わり固くて重い)
 裏地のアーム部分は手縫い!!



 正確無比なピッチです。
 50年前の縫い子さん、あなたの仕事は
 まだ、綻びてませんよー!

アウター
 


 15 年前くらいの服かなあ。
 取り外しできるインナーがついてて、
 ニットの衿と袖もついてます。
 取り外しができる、
 ここまでは当たり前。



 ニットの袖。これに感動。
 本来はインナーに付けて使いますが、



 インナーを外しても、ちゃんと
 ニット袖は本体に付くようになってます。



 これ、なかなかできることではない。
 (面倒くさい)

スカート
 秋頃購入。



一見普通ですが、裏地が。



 ポケットの裏布も。



 メールのやり取りで裏地の種類を
 選ばせてもらいました。
 同じところのデニムも持ってますが、
 ポケットの裏布が、白じゃなく紺。
 すべすべのリネンで気持ちいい。
 用事もないのに触ってしまいます。
 アトリエ主様いわく、
 「紺のデニムからゴワゴワの白い布が
 覗くより紺の方が粋かな、と思って。
 ポケットは手が何回も触れるから
 手触りがいい方がいいでしょ?」
 とのことでした。
 ちなみに、デニム自体は、
 自立するくらいかっったいヤツが好きで、
 柔らかくなってきたらノリつけたり
 してます。
 このデニムも固め。
 「ノリつけても柔らかくなってきたら
  また買って(笑)」と言われてます。
 
どれも、他人様からしたら、 
「だからどうやねん」てハナシなんですが。

メーカーのデザイナーが、
縫製する人が、
企画した人が。

「服とはこうでなくてはならぬ」
という仕事をした結果。

これを見ると、自分も、誠意のある仕事をしなくては、と、背筋が伸びるような気がします。






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