すてきな奥さん

2020年10月15日木曜日

よしなしごと 家事

 今を去ることn十年とちょっと前。

結婚する直前に、マンションを購入したので
新生活は住宅ローンのスタートでもありました。
ずっと実家暮らしで、横着な生活をしていたわたしは、何もわかっていなかった。

家事は、料理・洗濯・掃除といった、
パーツの作業が重要なのではない。

・それぞれの作業の所要時間や量の調節
・かかる費用の予想と運用
・必要物品の在庫量の算定と調達

他、諸々のマネジメント作業、
それこそが家政業務であるということを。

特に家計。

住宅ローンを組まれた方はご存じかもしれませんが、
(そして今は違うかもしれませんが)
何十年先の日付まで、年月別に、
元金と支払い額、などが表示されている
「償還表」という長ーい紙が送られてきます。
それを手に取って眺めた時、
その先行きの長さと、遅々として減っていかないローン残額に、暗澹たる気持ちになりました。
※元利均等返済なので、最初の方は、
 金利分の返済が大半で元金は減っていかない。
その頃の金利は、今とは比べ物にならないほど高かったので、ホントーに減らなかった(涙)

なんでそんなに不安になるか、といえば
収入額はわかっても、
支出額がわからなかったんですね、
ひとり暮らしすらしたことなかったので。
生活にいくらかかるか、が具体的に算出できない。

2人の食費っていくらかかるの?
電気、ガスっていくらかかるもの?

夫は、「任せるよ」というだけで、
この気持ちを共有することができない・・・

本当に返済できるの・・・?

それまで社畜として仕えていた会社は、
結婚前に退職していました。
あまりにも非人間的な会社生活の反動もあって、
結婚したんだし、これからは気楽なアルバイト主婦でいいや〜
とか夢みたいなこと考えていたけど、
そんなわけにはいかないかも。
夫の収入だけで生活はしていけるだろうけど、子供ができたらお金もかかるだろうし、収入が減ることだってあるかもしれないし…
アレコレアレコレ。
(そして新婚10日目で新職場に)

この頃は、本当に、
お金の出入のことばっかり考えていました。

最初にやったのは、
家計簿を細かくつけて、支出を把握すること。
一年しっかりやれば傾向はわかるだろう、と。

そして、それと。

主婦雑誌を熟読すること。
(なんでや)

家計診断だったり家事の工夫だったり
初心者には珍しかったし面白かった。
雑誌にはそれぞれカラーがありました。

中で、強烈な印象を残していたのが
「すてきな奥さん」。
通称「すて奥」。




なにが強烈って、その節約にかける情熱と
紹介されるすてきな奥さんたちの
月々の家計のタイトニングぶりが
ものすごかった。

家族3人(夫婦と幼児1人)の食費が
月1万5千円とか。
給料20万くらいで、月6万貯金するとか。

ラップを1回で捨てるのはもったいない。
丈夫な業務用ラップを使って、洗って何回も使いまわすべし。


業務用ラップ、どこで売ってるのかわからないから
やっすいラップを使って、使いまわすどころか
そもそも切れ目がすぐわからなくなって
めっちゃイライラするし。

トイレは開けっ放しで使えば、電気つけなくて済む。電気代節約できる。

電気代より人間の尊厳を優先したい、と思うのは節約マインドが足らないの?

高いエビを使わなくても、ちくわを切って
片栗粉をまぶしてエビチリを作れ。


作ってみたけど、チリソース味の
ちくわの炒め物にしかならないのは、
アタシの料理の腕がまずいの?

そもそも基本中の基本、
買い物はその日のチラシを熟読して、
特売品を複数のスーパーで買いまわれ

ということすら、
仕事の帰り道、
夕方遅くにしか買い物に行けないので
特売品は売り切れている・・・
「すて奥」さんたちみたいには
とてもいかず、自己嫌悪に陥ったりもしましたが、やがて気づきました。

・家賃がゼロとか格安
(親御さんから借りている家とか、社宅とか)
お米や野菜は、農家のご実家からもらっている
値のはる買い物は、お孫ちゃん可愛いジジババにしてもらっている

というケースの家計が結構多いことに。

あーここ(すて奥ワールド)では、
節約=エンターテインメントなんやな。
節約方法を実施すること自体が楽しみなんやな。
アタシはそこには楽しさを感じられへんから、
異世界見物のつもりで見たらええんやな。
(後年同じように思った人が
 相談までしているよ!)





もちろん、すべてがそうではないでしょうし
倹約精神は素晴らしいことなのですが。
とりあえず自分にできることしかやらない!
と決めてからは、キリキリすることもなくなりました。

主婦雑誌もいつの間にか読まなくなりましたが、
・管理できる量の在庫しか持たない
・在庫、特に食材は使い切る
ということを、主婦雑誌から学んで
そこは、(割と)実施できるようになってよかったと思います。


「おうち仕事の割合が高い主婦が
 生活を楽しく」
というのがコンセプトだった主婦雑誌界は、
時代の趨勢とともに、ひとつ、またひとつ、と
廃刊になっていきました。
2014年に廃刊になった「すてきな奥さん」は
「CHANTO(ちゃんと)」という名前でリニューアルしました。
読んだことはないのですが、
今のコンセプトは

仕事をしながらでも料理や家事や子育て、
さらには美容からお洒落まで“ちゃんと”やって、
自分の時間も“ちゃんと”楽しみたい、
そんなアクティブな主婦の暮らしと心に寄り添える

だそうで、こりゃまた、ハードル上げてきたね(笑)
「ちゃんと」を「無理なくできる範囲で」に
置き換えたら、賛成ではありますが。


ところで、ワタクシ家のハナシに戻りますと。
償還表を見て、青くなった日から
7年後、無事、全額完済しました。
(繰り上げ返済→低金利に借り換え 経由)

自由人だが、真面目に働き金遣いは別に荒くない夫のおかげでもありました。

そしてその3年後売却したのですが
買主さんは自営業の奥様でした。
娘さん用に、とのお話で、
雑談の中でおっしゃっていた娘さんの歳は、
わたしがローンを抱えた歳と同じでした。
親御さんに丸々買ってもらえる人もいる。
いいなあ…と思わないではなかったのですが、
ローンを抱えたことにより、
「とにかくできるだけ貯めたい」
という強い決意を持ちました。
その決意は、その後のさまざまな選択の
軸となりました。
決意の割にはたいして稼げはしませんでしたが、さまざまな分岐を経て、今の自分があり、なんとか口に糊することができています。

「すてきな奥さん」にはなれなかったけど
まあこれはこれで、よかったのかな。
夫はどう思ってるか、知らないけどさ。




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