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2020年9月28日月曜日

トレラン 熊野古道伊勢路 山歩き

八鬼山越え



誰もいない町を山に向かってポテ走り、

1kmいかない間に雨が降ってきました。
弱雨ですが、雲は行く手に広がっているので
早目にレインウェア装着。
2.5kmくらいで八鬼山(やきやま)の
表示が出て。



上がって上がって…




登山口。




170kmの伊勢路の中で、「山」越えはここだけ。標高627mですが、他の峠と同様、標高ヒトケタから上がって行きますので、楽ではないと思われます。
難所は朝に越えろ。


初めは緩やかだった上りも徐々に斜度が上がってきますが、まあそれ程キツくはない。
ですが、雨の石畳なので足の置き場には
注意したいところです。
樹林帯では暗いので、ハンドライトで
石の表面を確認して行きました。

この辺りから、行き倒れた旅人の、
供養塔が出てくるようになりました。
草鞋で粗食で長い道程、狼や山賊も出たでしょうし、昔はホントに命がけでしたでしょうねえ…




どんどん山に入ってきました。
石畳の苔が濃い。左に沢の音がするから、

湿度が高いのと日があたりにくいから
だろうな、と、行く道を見上げた時、
息を飲みました。

熊野古道は巡礼の道で、伊勢参りの後、
伊勢路で熊野を目指す人は、巡礼装束に着替えて旅をした、といいます。
パワースポット詣でをしている訳ではないし、
身体を動かすこととスピリチュアル関係を一緒に考えるのは、好きではないのですが、
この時は、「神おわす路」という言葉が
頭をよぎりました。




厳かで、静謐で、ただ、うつくしかった。


誰もいません。わたしだけ。
吸い込む息も緑になりそうな、
人の気配が全くない道を
黙々と上がっていきました。


難所・七曲り。



8分で越えたので上りはもう少し巻けるか。

伊勢路は、上り→平ら→上りというふうに
道が作られてるところが多くて、
七曲りの後も、こんな平地でした。



平地は走る方針で。
巻き気味で上がってるのは、
かなり気をつけないと相当滑る、雨の石畳を
この斜度で下る、下りのことを
考えていたからでした。
どのくらいかかるだろうか…
今日、新宮に着かなければいけないし。

おお、このようなところに、小さいお社が。
荒神社のようです。




ここから頂上はすぐでした。
頂上付近はなだらかな道になっていて、
茶屋跡や、ビューポイントもありましたが
この天気でなにも見えず、残念。
相変わらず、誰もいない。
6.5kmの登山道含む、全山中、
今、多分、人間はわたしだけ…
おまけにクマ表示もあるし(怖)、
熊鈴を全開で鳴らしながら、
脚を止めずに、下りへ。


下りは想像どおり、かなり滑りました。
気をつけていても2回くらい、尻もちを
つきましたけど無問題。
平地もあるので、走ることもでき、
標高は順調に下がっていきました。
(余裕がなく写真なし。)


あ、道がなだらかになってきたな、
と思ったら、左側にこんな標識が。



ほうほう。籠立て場。
そりゃ、あの斜度だと籠をかく人は
キツすぎるだろうねえ…
と往時に思いを馳せ、写真を撮った後、
右側にあるプチ滝を見たい、と、
何も考えず、方向を変えました。


…ら。


平地にもかかわらず、ズルっと滑り、
それは仕方ないのですが、
倒れゆく方向に、めちゃデカい岩が!!!


ヤバい!!!当たる!!


岩がデカすぎて、もう避けるのはムリ、
と思ったので顔面は守りたくて
身体を捻って頭を上げました。
それが良かったのか悪かったのか。
上げた頭を保持しきれず、
頭突きをカマしたみたいな恰好になり

こめかみあたりから、
岩に頭を打ちつけました。


!!!


目から火花。


…っ…いっ…てええぇぇ…!!


アタマがぐわんぐわんするし、
なぜか肩口から肘までしびれるし。
このまま倒れてても、誰にも見つけてもらえないんじゃないか。立たねば。


立ち上がれず、座りこんだまま、とりあえず
傷チェックすると、出血なし。
それはそれで恐ろしいのですが、
10分くらい座っていたら、こめかみ辺りが
たんこぶ状態に。痛いよぅ…でも安心?
腕のしびれも取れたようなので
ゆっくり立ち上がりました。


あーびっくりした。
火サスでよくある、
「激昂した相手に突き飛ばされて
 転んだら頭を打って、死亡」ていうのは
こういう状況なんやな。
(生きてます。)
(火サス脳)


ゆっくり歩いて登山口まで降り、

(八鬼山を振り返る)


R311まで出ました。うみだー。

(海なし県民)



こんな貼り紙が。


イルカ、わんぱくか。

舗装路を走り出しましたが、大丈夫そう。

三木峠・羽後峠



海岸線の道路を走り、三木峠へ。

短いけれどキレイな石畳の道。


標高120mで高くないので、海も近いのね。


三木峠を出て、農道を突っ切り、
案内に従って、羽後(はご)峠。



この辺りで陽がさしてきました。
レインウェアは脱いで、と。


この峠は、近年、地元の方々によって
発掘されたそうです。
田畑に獣が侵入するのを防ぐ、
「猪垣(いがき)」という石積が、
とてもキレイに残っていました。



随分前に、熊野古道のドキュメントで
手作業で土を掘り、石畳を見つけては
整地されている地元の方の姿を拝見し、
心打たれた、というのも、
ここに来たかった理由のひとつでは
ありました。
ご高齢の方が多かったけれど
あのときの皆様は、今もお元気で
いらっしゃるのだろうか…




峠は終わって、集落をつっきり、賀田駅方面。
まだまだ峠は続きます。
時刻は、11:30くらい。
うわー。遅い。
できたら、速玉大社が閉まる17:00までに
ゴールしたいのだけど…
厳しくなってきたかもだ。


自販機前で、朝ごはんの残りの
サンドイッチを食べ、
缶コーヒーを2本カマして補給。
よし、次の、曽根次郎坂太郎坂
(甫母(ほうじ)峠)は詰める。

(続きます)


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