時のないホテル

2020年9月25日金曜日

トレラン 熊野古道伊勢路 山歩き

 馬越峠

熊野古道というと石畳をイメージします。
なぜ石畳なのか、といえば、


東紀州地域は、全国でも有数の多雨地帯。季節によっては激しい雨が降ります。
土の道では、その雨によって土砂が流され、道が崩れてしまいます。それを防ぐために石畳が設置されたと考えられます。


ほおおお〜〜。
(↑出典はコチラ。おもしろいよ!)




ここまで、ツヅラト・一石・三浦・始神と
4つの峠を越えてきましたが、
石畳は、ツヅラトの最後の方と、他は一部分にあるかなーて感じでした。
ここ馬越(まごせ)峠は、上り口(海山町側)から、石畳です。



夕刻の気配が漂い始める中、上り始めました。
前日が雨だったせいか、日が当たらない箇所は濡れています。
すると、石畳に普通に足を置いて、中足~ヒールにテンションがかかると上りでも滑る...
前足荷重で上っていきました。
浮石があるかしら?と思ってましたが、それは全く大丈夫。



2004年、台風21号でR42が崩落して通行止めになったときも、ここ・馬越峠はビクともしなかったそうです。
災害ボラの方たちは、ここを越えて災害地へ行かれたとか。
長い長い長い間、沢山の人が通ってきた、
強固な石畳の道。
感慨深いものがありました。

石畳の左右は、シダとヒノキの美林です。
ヒノキのいい匂いがする箇所もあります。
夕刻が近いせいで、林の先に、傾きつつある陽が差していました。



なんてキレイな道なんだろう...

ヘボスマホと自分の写真技術がホントに残念...

伊勢路イチ有名な峠だけあって、
ここでは、3組くらいかな、下りてくる方々とお会いしました。
みなさん、登山装備でいらしたのですが
下りの石畳は相当滑るみたいで、苦戦されていました。
トレランシューズのわたしは、どのくらい下りに時間がかかるんだろうか。
日没時間との兼ね合いもあり、不安でした。

馬越峠・325mからは、天狗倉山(522m)へ上ることができます。
わたしは行きませんでしたが、頂上には上れる巨岩があり、360度のパノラマを楽しむことができるとか。

どっちにしてもわたしは上れませんが。
(高いとこコワい)

さて、下り。
大丈夫か、わたし。

が、不安は杞憂に終わりました。
尾鷲側に降りる方の道は、同じように石畳の道なのですが、日当たりがいいらしく、
石が乾いており、足の置き方に注意すれば、
ほとんど滑ることはありませんでした。
よかったー。

下りる方を2組追い越したのと、上ってこられる方お一人とすれ違ったのですが、
この方は近隣の方らしく
お散歩装備でした・・・

馬越峠・尾鷲側のふもとの神社。



ここからは舗装路で、すぐ集落に入ります。
通り雨が降ってきましたが、
舗装路なのでヨシ。
集落の方々は、みなさん挨拶してくださいます。犬の散歩の小学生さえも。

よろず屋さんの店先の、はり紙。




ココロを撃ち抜かれました。
「悪いサル」感の表現。(可愛いかよ)



躍動するコソ泥感。(腰のかがめ方!)



味のある達筆。(すき)



弟子入りしたい。
マジで。

大型書店ではない、「町の本屋さん」!!



なぜか泣きたくなります。
入ると、きっと、紙とインクの匂いがすることでしょう。

尾鷲の町に入りました。
時計はここでいったん終了。
50.4kmでした。時刻は17:00前。

泊まるホテルはもうすぐのはず・・・
あ、あったあった。

・・・。



建物の外にいても濃厚に漂う、この昭和感。



お部屋も裏切りません。
てか、なんなの。
この昭和の中学生の勉強部屋感。
味わい深すぎる(喜)。



だけども。
このホテル、わたしが一人でラン旅とか山旅のときに、ホテルに求める条件を、すべて満たしていました。
歯ブラシ、湯沸かしポット、ドライヤー、
タオルなどの標準装備は最低限として、

コンセントが多いorタップがほしい
 両方満たしていました。



電子レンジほしい
 なんと部屋の中にある!!!
部屋にお風呂ほしい
 お風呂、洗い場が別!!!
 夢のようだ。



コインランドリーほしい
 なんと、洗濯機は無料でした。
 惜しむらくは、乾燥機がなかった・・・
 ですが、シングルルームとは思えないくらい
 ハンガーがあり(笑)、だだっ広い部屋中に干して翌日には乾きました。



あとですね。
これはゼータクとはわかってるのですが、
旅の間、天気予報以外TV見ないので、
ホテルに書籍があるとすごい幸せ。
まあ、普通ありませんよね。
活字中毒なので、仕方なく、
部屋に置いてる聖書読んだりしてるのですが
ここは、素晴らしかった。
まず、部屋には聖書と、なぜか古事記。
そして、部屋の外には、
ご当地の資料本やら、古道の関連本、
紀伊地方の写真集などがあり、
ここなら、一日、部屋にこもっていられる自信がありました。

パーフェクト。

フロントのすぐそばのお部屋だったので
会話が聞こえてくるのですが、

客「おすすめの居酒屋ってどこですか」
フ「…。どこもおすすめはしませんねぇ。」

おすすめしないのかーい(笑)!
お風呂入っちゃったら、もう外に出たくないな、と思ってたので着替える前に、
すぐ近所にあったコンビニ行って、
夕飯と翌日の朝食を購入し、洗濯した後、
そのまま朝まで、一歩も部屋の外に出ませんでした。

ありがとう、尾鷲の昭和なホテル。
時の流れを止めたホテル。
素敵な一夜でした。

ここは置き去りの  時のないホテル
20世紀を楽しむ場所


翌朝、6:00前。



今にも降ってきそうな空ですが
最難所・八鬼(やき)山越えから
スタートです。

(続きます)




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