さよなら、ばーちゃんち。その1

2020年3月9日月曜日

よもやま話


「おばーちゃんち」。

それは、京都の郊外市にある、
実母方の祖父母の家でした。
祖父方の、高祖父(曽祖父の父)が分家して
そこに居を構えたのは、
明治より前、らしい。(文久あたり)
(本家は同じムラの中)
なので「おじーちゃんち」なんですが
なんでかずっと「おばーちゃんち」でした。

母は2人姉妹の次女です。
二人とも嫁にいって祖父母は二人で
暮らしていました。
二人とも90歳を越えるまで
長生きしましたが、
祖父は24年前、祖母は、14年前に他界。

母も、その子供である兄もわたしも。
母の姉(35年前に他界)の子の従兄弟も。
みんな持ち家があるし、
なにより、駅からとても遠く、
ムラの暮らしがエラいこと大変であるため、
誰も、ここに、住みたくない。

祖母は最後7年間は施設暮らしでしたので、
21年間空き家だった、
「おばーちゃんち」
を、先日売却しました。

全国800万戸以上、とも言われる空き家。
拙ブログをお読みいただいている中にも
関係している方が
いらっしゃるかもしれませんね。

わたしは、結婚後、自分の居宅は、
購入2回、売却1回経験していますが
空き家の管理と売却を経験したのは
初めてでした。
今回の経緯が一般的なのかどうか
わからないのですが、
地方都市のエアポケットや、限界集落に
近いところでは、もしかして
似たことがあるのでは、と思ったので
例によって、ランとは無関係ですが
書き残しておきたいと思います。


祖父母宅は、敷地約200坪、
平屋の家屋は40坪程。
残りは全て庭。(蔵あり)

月一で母とわたしが、手入れに行ってました。
樹木のやたらめったら多い、庭。
庭の手入れの目的は、
美観維持とかではなく、
樹木が伸びて日を遮るとかで、
「他家に迷惑をかけない」これにつきます。
草むしりだけで済むわけがなく、
斧・ナタ・鎌・電ノコをバリバリ使って

おまわりさーん!不審者です!
(ジェイソン子)

ジャングルにならないように
頑張っていましたが、年に一回は、
業者を頼まなくてはならず、
一回に10数万円の費用がかかります。

夏はあっという間にジャングル化

経年劣化したブロック塀などが
万一にも崩れたらエラいことなので
外回りの修繕なども、言わずもがな。
当然、修繕費発生。

その他の固定維持費として、
光熱費、固定資産税の他、
年貢(後で説明します。)
そして、お寺費と交際費。

ムラは10数件の家
(お子さん世帯と同居大半)
ムラにお寺があり、ほぼ全軒、檀家。

・仏壇が家にあるのはデフォルト
・人が亡くなったら葬儀仏事は、
 自宅でやるのは当たり前。
・仏事は、お通夜葬儀、初七日を皮切りに
四十九日まで七日ごとに、おまいりする。
百カ日、初盆、一周忌、三回忌…以下略。

※祖父が亡くなったとき渡された
「仏事カレンダー(仮称)」はA4、2枚に
亘っていました。

この仏事ごとに全て、
おまいりする側なら御仏前、
される側なら粗供養(お返し)が必要。
ご不幸が重なると、
一年中、どこかの家の、なにかのおまいりを
してるようなことになります。
当然、お寺さんにはお布施、要。

また、お寺さんの本堂はもちろん、
敷地内のご自宅の建て替えとか増築時にも
ご寄進が数十万円単位で必要です。

祖父母が存命の頃は、何一つわかってなく、
「イナカってお金かからないよねー」とか
思っていた自分、そこへ座りなさい!!
※費用は、祖父母が遺したお金で
賄っていました。

長々書きましたのは、
街中と違って、このような背景があるため、
他所から来た人が簡単に暮らせるような
ところではない、と
言いたかったからなのです。
(少なくとも、わたしは絶対に無理だ…)

売却にかけたとて、売れるんだろうか…
と懸念しつつ、10年以上たちました。

ある日のこと。

ムラの、あるお宅から、売ってほしい、
というお話が出ました。
司法書士のご主人、不動産屋に手数料を
払わずとも、自分が全部やるから、とのこと。
ありがたいお話です。

が。

ばーちゃんちには、実は問題が。

イナカあるあるなのですが、
敷地内の右端一部は、借りている土地。
敷地外(=隣の敷地)の左端一部は、
貸している土地。
その、借り(貸し)土地の費用を
年貢、と呼び、年末に支払いをするのが
慣例となっていました。

えーと。
コレ、売却するとき、どうなるの?

母が、この事情を、買いたい、という方に
お話しすると状況は一変。

「キレイにしやはったら、その時また、
 考えさせてもらいますわ〜」
(訳・そんなややこしいとこかなんわ、
 いらんいらん!)

話はチャラに。
…そりゃ、そうだよね。

母と話し合いました。
借地、貸地をキレイにしよう。
不動産屋さんに相談して、売りに出そう。
しかし、街中ならいざ知らず、
こんなややこしい事情の土地、
面倒見てくれるものか?
不安に思いつつ、K不動産に電話、
母と訪ねていきました。

(続きます。)

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